VRChatやclusterで「全身で動きたい」と思って調べ始めると、最初にぶつかるのが費用の分かりにくさです。2万円ほどでできるという話もあれば、総額10万円を超えたという話もあり、幅がありすぎて判断できない——本記事では、フルトラ(フルボディトラッキング)の費用が何で決まるのかを分解し、予算帯別に現実的な選択肢を整理します。
筆者は、フルトラ機材「Opsens by Uni-motion」を開発・販売している株式会社ライバーのスタッフです。日々この市場を見ている立場から、他社製品も含めた費用の全体像をまとめました。価格はいずれも2026年7月時点のものです。
フルトラの費用を決める3つの要素
フルトラの総額は「トラッカー本体の価格」だけでは決まりません。次の3つの掛け算で考えると、見積もりを外しにくくなります。
1. トラッカー本体の価格帯。製品によっておよそ2万円から5万円台まで幅があります。光学式(後述のVIVEトラッカー系)は1個あたりの単価に加えて複数個が必要です。
2. トラッキング方式に伴う周辺機器。ここが最大の分かれ目です。光学式はトラッカーの位置を検出するための外部センサー「ベースステーション」が別途必要で、これだけで数万円規模が加算されます。慣性式(IMU)やハイブリッド方式はベースステーションが不要なため、本体価格がほぼ総額になります。方式の違いは慣性式と光学式の違いで詳しく解説しています。
3. ランニングコストと拡張。バッテリー内蔵型は充電の手間と将来の電池劣化、電池式は電池代がかかります。また、腰+両足の3点から始めて、後から膝や肘を追加する「増点」を見込むなら、その分の予算も考えておくと安心です。
予算帯別の選択肢
約2万円:低価格帯の代表はrebocap。 6点セットでおよそ2万円という価格は、現在のフルトラ入門の最安ラインです。慣性式(IMU)なので、価格の安さと引き換えに、長時間の使用でじわじわと位置ずれ(ドリフト)が蓄積しやすい特性は理解した上で選ぶと、期待値のギャップがありません。
3〜4万円台:価格と動きの質のバランスを取るゾーン。 当社のOpsens(¥32,780)と、HaritoraX2(39,999円)がこの帯です。Opsensは慣性式の価格帯に踏みとどまりながら、光学(2次元マーカー)×IMUのハイブリッド補正(市販初)を搭載し、慣性式単独よりズレにくい構成にしています。さらに電源が充電式ではなく単4電池1本で400時間以上動くため、「使用の直前に充電を忘れていた」という事故が起きず、電池交換だけで使い続けられます。予算を抑えつつ、動きのズレも抑えたい——その両立がこの帯の価値です。センサー6個で始めたい方には拡張版のOpsens+(¥54,780)もあります。
10万円〜:精度最優先の光学式フル構成。 VIVEトラッカー+ベースステーションの構成です。外部センサーで位置を直接検出するため精度は現在も最高クラスですが、その分価格が高く、トラッカー複数個+ベースステーションで総額10万円を超えます。動きの精度を何より最優先するなら、今でも第一候補です。
1万円前後以下について。 スマートフォンのカメラを使う簡易的な方法や自作系の選択肢も存在しますが、精度・安定性・セットアップの手間のトレードオフが大きく、「アバターで自然に動きたい」という目的では、結局2〜4万円帯に買い直す例が少なくありません。本記事では継続利用に耐える構成を前提に、上記3帯を推奨します。
※価格は2026年7月10日確認時点
見落としがちな追加費用
意外と見落とされがちなのが次の4つです。第一にベースステーション。光学式を選ぶ場合の必須枠で、ここを見落とすと予算が一気に倍近くになります。第二に電源まわり。充電式は本体価格に含まれているように見えて、複数トラッカーの同時充電環境や電池劣化後の買い替えが隠れコストになります。第三に増点。3点(腰+両足)で始めて物足りなくなり、膝・肘を追加するケースは多く、1点あたりの追加単価を最初に確認しておくべきです。第四に前提機材。フルトラはVRヘッドセットやPCがあることが前提の「追加装備」なので、ゼロから始める場合は本体側の予算と分けて考える必要があります。
結論:予算別の考え方
とにかく安く始めたいなら約2万円のrebocap、動きの精度を何より最優先するなら10万円超の光学式フル構成。その中間——「予算はできるだけ抑えたい。でも動きのズレもできるだけ抑えたい」という多数派には、ハイブリッド補正と電池1本400時間以上の運用性を備えた3万円台のOpsensが、価格と質のちょうどいいバランスです。製品ごとの詳しい違いはフルトラ機材を徹底比較を、ベースステーションを置かない選択肢の全体像はベースステーション不要でフルトラする方法をご覧ください。
Opsens by Uni-motionの詳細スペック・購入は製品サイトへ。法人でのご利用・卸のご相談はお問い合わせへ。