商品説明は、その場面への問いかけから始まります。U5Dさんのアバターギミック「FaceReach」が、9月11日にBOOTHで公開されました。BOOTHでの商品名は「VRゴーグルのリアルコライダー無視」です。公式画像は4点。頬を包む両手の比較、指先が頬に触れたカット、機能のオン・オフで手の届く範囲が変わる比較、そしてツールの設定画面が並んでいます。
画像:U5Dさん/BOOTH商品ページ
ツール概要
- 価格:500円(ダウンロード商品)
- 公開:2026年9月11日(更新履歴はv1.02まで)
- 作者:U5Dさん(BOOTHショップ「U5D」)
- できること:画面に表示されている腕を曲げて手を顔へ届かせる/顔に触れた場所の形に沿って指が曲がる
- 必要な環境:VRChat SDK 3.10.5(アバターを作るための開発キット)/Unity 2022.3.22f1/Modular Avatar 1.18.7(作者の作成環境。過去の版では正常に動かないと明記)
- 対応端末:Questやモバイルは非対応
- 利用規約:データは購入者本人の利用に限る。VRChat内での再配布は、元アバターの規約でパブリック公開が許可されている場合のみ
曲がるのは、表示されている腕だけ

画像:U5Dさん/BOOTH商品ページ
商品説明にはこうあります。「表示上の腕を曲げて、その手を顔まで届かせます」。
ここが面白いところです。手が届かない原因は、現実の体の側にあります。顔の前にゴーグルがあるので、コントローラーが先にぶつかります。ところがこのツールが曲げるのは、画面に表示されているアバターの腕だけです。
だから作者は、見た目だけが変わる、と先に書いています。ペンを持つ、ボタンを押す、持ち物をつかむといった操作は「見えている手ではなく元の手の位置で行われます」。ペン先の位置はそのままで、見えている手だけが頬に届きます。この割り切りが、このツールの設計そのものです。
腕の補正は、肘の回転をX・Y・Zの3方向ごとに増減する方式です。どの方向がどう働くかは、アバターの中に入っている動かすための骨組み(リグ)次第だと明記されています。そのため値は、VRChat内の円形メニューで1方向ずつ動かして探す前提です。決まった値はツール側へ入れて固定でき、固定すると、アバターがVRChatへ持ち込める設定の容量(Expression Parameters)の消費を減らせます。
指は、触れた場所の形に沿って曲がる

画像:U5Dさん/BOOTH商品ページ
もう一つの機能が、指の曲がりです。人型として組まれたアバターの骨組み(Humanoid)から指を自動で見つけ、「指の関節ごとにPhysBoneを足します」。PhysBoneは、髪や服を揺らすために使われている仕組みです。顔に置いた当たり判定(触れたかどうかを判定するための見えない形。コライダー)に手が入ると、触れた場所の形に沿って指が曲がります。
足すのは曲がりの差分だけなので、コントローラーの操作で決まる手の形(ジェスチャー)は崩れません。指の本数は問われません。ただし指1本につき「付け根・中間・先端の3関節が必要」で、関節が足りない指は飛ばされます。関節が2つしかない手や、獣の手や手袋のようにアバターとは別の骨組みを持つ手は、ツールの「別Armature」(アバター本体とは別の骨組みを登録する項目)で対応する、と説明されています。
顔の当たり判定そのものは、ボタン1つで作れます。カプセル1個の「かんたん顔判定」で、Unity(アバターを組み立てるソフト)の画面にプレビューが出るので、大きさと位置はそこで調整してください。すでに並べてある判定があるなら、それをツールへ登録してそのまま顔判定として使うこともできます。
細かい設定を触ると、手を振ったときに指がふにゃふにゃに動くようにもできると書かれています。これはちょっと試してみたくなります。
フレンドの顔に触るには、お互いの許可が必要
ツール側で、他人からも当たるようにする判定(Global Collision)を設定すると、「友達と顔を触り合うこともできます」。「顔を触らせる」は「既定でONです」で、VRChat内のExpressionメニュー(円形の操作メニュー)からいつでも切り替えられます。
触れるかどうかは、VRChat本体側の設定(Avatar Interactions=他人のアバターとの接触を許すかどうかの設定)にも左右されます。作者は、触れないと感じたときに確認する順番を3つ挙げています。「お互いが許可していないと効きません」。VRChatの既定はフレンドのみのはずで、「フレンドでない相手とは、初めから触れません」。そして「相手のネームプレートの手のアイコンが灰色なら」、その人は許可していません。商品説明には、VRChat公式の権限設定ドキュメントのURLも置かれています。
ここは先に知っておくほうがよい点です。作者は商品説明の冒頭で「お互い触れない報告があり完璧ではありません」と明記し、触れる範囲の確認と、最低限の構成のアバターでの再現テストを呼びかけています。
他人用に置いた判定は、そのアバター自身の揺れものにも作用します。顔の横に髪があるアバターでは、その髪が押し広げられることがあるため、顔の判定は小さめに整えるよう書かれています。反対に、うまく整えれば顔を傾けたときに髪が顔にめり込みにくくなるとも書かれています。
入れる前に確認すること

画像:U5Dさん/BOOTH商品ページ
導入は3手順です。Unityの上部メニューから「t04 FaceReach」のSetupを開き、アバターを登録し、使いたい機能にチェックを入れてセットアップを押します。作者はバックアップを忘れないよう書き添えています。生成されるファイルはアバターごとのフォルダに分かれるので、複数のアバターへ入れても互いに影響しません。
そのうえで、買う前に読む条件がいくつかあります。
- 併用できないツール:腕の姿勢を変えるツール(ポーズ固定、しゃがみ姿勢の変更など)とは同時に使えません。「入っているだけで腕の補正が効かなくなります」と明記されています
- 衣装の入れ方:衣装は、アバターへ組み込む道具のうちModular Avatarで装着してください。別の道具(VRCFury)のArmature Linkで装着した衣装では、「袖などの揺れものが腕補正に追従しません」
- 設定の容量:「腕の補正のみ:1〜25bit」/指の曲がりのみは1〜3bit/両方で2〜28bit。VRChat内で調整する方向の数で変わり、値を固定すれば減ります。合計はツール画面の下部に出ます
- 対応端末:「Questやモバイル非対応」です
- 動きの制約:「腕の補正は左右一括です」で、片腕だけ別の値にはできません。指の曲がりは物理の動きなので、接触の角度や速度によって毎回まったく同じ形にはなりません。「Mesh Rendererだけの装飾は動作対象外です」(骨組みを持たず、見た目だけを描いている部品のことです)
- アバターの前提:「未改変アバターで動作確認しています」。改変したアバターでは正常に動かない場合があり、「腕に既にconstraintが入っていると動作しない場合があります」。Constraintは、体の一部を別の場所の動きに合わせて動かす設定です
色や質感を出す仕組み(シェーダー)ごとの対応可否は、商品ページに記載がありません。
動作を確認したアバターは12体
商品ページには、顔を触る動作の確認が取れたアバターが並んでいます。ミルティナ、いちご、マヌカ、海咲、桔梗、しなの、ルミナ、斑霞、輝夜、愛莉、ショコラ、邪竜メルヴィの12体で、それぞれBOOTHの商品ページへのリンクが付いています。手袋型のKemoHandは「別Armature」へセットすれば使えるものの、指と手袋が重なるため、押しつけすぎると指が貫通して出てくることがあると注記されています。
一覧に無いアバターについては、人型の骨組みで指の骨に動きが割り当てられていればだいたい動くはずだ、という書き方になっています。ここは条件付きの記述で、確定はしていません。動かないアバターがあれば、使ったアバターと衣装のBOOTHのURLを教えてほしいとも書かれています。
更新は公開2日でv1.02まで進んでいます。v1.01では、腕の補正をかけた状態で顔に触れても指が曲がらない問題が直りました。当たり判定が補正前の向きに残っていたためです。v1.02では、骨組みの指定が仮のものになっているアバターに対応し、使う指を候補から選べる項目が加わりました。BOOTHのお気に入りは、9月13日時点で2,161件です。
英語のマニュアルと英語の画面も同梱されています。作者は、母語ではないので表現が不自然なところがあるかもしれない、と添えています。
手と顔の次は、体
商品説明の最後に、これからのことが書かれています。今のFaceReachは顔と手に関するもので、機材が整うようになれば「将来的には体も触れたらと思います」。その場合は「今あるコースはフルセットとし追加購入不要の予定」で、顔と体でツールを分けない可能性もある、という書き方です。
腰と足の動きをアバターへ渡す方法(フルボディトラッキング)で、何をそろえるとそれができるのかはOpsens+の仕組みと価格を見るのページにまとまっています。
買う前に
価格は500円で、買い切りのダウンロード商品です。セール期限の記載はありません。
利用規約は商品ページにあります。データは購入者本人の利用に限られます。ギミックをアバターに入れた形でのVRChat内での再配布は、元アバターの規約でパブリック公開が許可されている場合のみ可能です。ギミック単体を取り出せる形での配布はできません。
撮影のとき、頬に手を当てるポーズを諦めたことはありませんか。まずは動作を確認したアバターの一覧を開いて、使っているアバターの名前があるかを見てみてください。
公式情報
- BOOTH商品ページ(U5Dさん):https://booth.pm/ja/items/8789919
- VRChat公式ドキュメント(他人のアバターとの接触などの権限設定):https://docs.vrchat.com/docs/permissions-and-settings
