看板がプレイヤーの方を向き、小物がアバターを追う——VRChatがSDKの新機能3種を予告
ワールドの案内板が、近づいてきたプレイヤーの方へ向く。頭上のマスコットが、アバターの動きに合わせてついてくる。
- 公開
- 2026.08.15

画像:VRChat公式
VRChatは2026年8月13日のDeveloper Updateで、こうした仕掛けを作りやすくするSDKの新機能3種を予告しました。看板などをローカルプレイヤーへ向けるBillboard、Transformをアバターの骨へ追従させる機能、Contactから取得できる情報の拡張です。
どれも派手な新ワールドやアバターの発表ではありません。ただ、制作者がUdonで繰り返し組んできた処理をVRChat側が引き受ければ、看板や追従小物、接触ギミックの作り方が少し身軽になります。VRChatは公開時期をまだ発表しておらず、API名や仕様も正式公開まで変わる可能性があります。
制作アップデート概要
- 発表主体:VRChat
- 発表日:2026年8月13日
- 状態:開発中/今後のSDK更新に向けた予告
- Billboard:看板などをローカルプレイヤーの方向へ向ける
- Bone Tracking:Transformをアバターの骨へ追従させる
- Advanced Contact:送信元の種類、位置、速度、タグなどを取得する計画
- 公開時期:VRChatは未発表
- 注意:正式公開までAPI名・仕様が変わる可能性あり
VRChatのBillboard機能が、看板をプレイヤーの方へ向ける
ワールドの案内板や名前札を、見る人へ正面を向ける仕組みはBillboardingと呼ばれます。
VRChat公式が示した現在の実装例では、UdonのUpdateループがTransformの向きを継続的に更新します。この方法でも看板は動きますが、VRChatは処理をより簡単かつ軽くするため、ネイティブのBillboard機能をSDKへ加える計画です。
予定されているVRCBillboard.Registerは、横方向だけを追う表示と、上下方向の傾きも含める表示を選べます。Unregisterを使えば、制作者は追従を解除できます。
案内板、クエストの目印、遠くから読ませたい名前札。こうした定番の仕掛けをVRChat側へ任せられるなら、制作者は表示内容やデザインへ時間を回しやすくなりそうです。
VRChatが、アバターの骨へ小物を追従させる
VRChatは、Transformをアバターの骨へ関連付ける機能も計画しています。
現在の公式例では、Udonがアバターの頭の位置と回転を読み取り、対象オブジェクトへ反映します。新しいAPI案では、制作者がTransformと骨を指定すると、その後の追従をVRChatが処理します。制作者が小物を外す場合は、DetachTransformFromBoneを使う想定です。
頭上に浮かぶエフェクト、手についてくる道具、肩のそばを飛ぶマスコット。アバターの動きに合わせる小物は、ワールドの演出をぐっと賑やかにします。VRChatが追従処理を標準機能として用意すれば、同じ仕掛けを一から組む手間は減りそうです。
ただし、この機能は現在のボーン追従を便利に置き換える計画であり、遠隔プレイヤーのTrackingDataを新しく取得できる機能ではありません。公式フォーラムでは、非表示アバター、Impostor、Fallbackなどでの挙動を心配する質問が出ました。VRChatの担当者は、計画中の機能が現在のUpdateループによる追従と同じ範囲を置き換えるものだと説明しています。
Advanced Contactが、位置・速度・タグをアニメーターへ渡す
VRChatは、Contact Receiverが受け取れる情報も増やす計画です。
現在のContactは、送信元がReceiverの中心へどれだけ近いかを近接値としてアニメーターへ渡せます。今後のSDK更新では、送信元の種類、Receiverから見た位置、相対速度、近接値の変化率、共通タグなどを追加する案が示されました。
これらの値が使えるようになれば、アバターギミックは「触れたかどうか」だけでなく、どの方向から近づいたか、どの速さで触れたかによって反応を変えられます。VRChatは、コミュニティから寄せられた要望を受け、複雑な回避処理を減らして既存アバターの負荷を下げられる可能性にも触れています。

制作者は歓迎し、遠隔アバターの挙動には質問も
Developer Updateの返信欄では、制作者から「定番処理が短くなる」「Udonで繰り返してきた作業が楽になる」と期待する声が上がりました。
一方で、アバターの骨へ小物を追従させる機能については、遠隔プレイヤーや非表示アバターでも期待どおりに動くのかという質問が出ています。VRChatの担当者は、今回の機能が現在のボーン追従を便利かつ軽量に置き換えるものであり、遠隔プレイヤーのTrackingDataに関する別の制約まで解消するものではないと説明しました。
新しいAPIは、制作者が抱えてきた面倒を一度にすべて消す魔法ではありません。それでも、VRChatが定番処理をSDKの部品として取り込む方向は、ワールド制作の入口を広げる一歩になりそうです。

VRChatは公開時期をまだ発表していない
VRChatは、3つのSDK機能の公開日をまだ示していません。Developer Updateには、Billboardのメソッド名も正式公開まで変更され得るという注記があります。Advanced ContactのInspectorも開発途中です。
そのため、制作者が現在使っているUdonの処理を今すぐ置き換える段階ではありません。正式版が公開された後に、ローカルプレイヤーと遠隔プレイヤーの挙動、実際の処理負荷、既存ギミックとの互換性を確かめる必要があります。
制作者は、正式公開後にどの仕掛けから試すでしょうか。プレイヤーの方を向く案内板、肩を追うマスコット、触れ方で反応が変わるContact。制作者が何度も書いてきた処理がSDKの部品へ変われば、ワールドの小さな演出はもっと増えるかもしれません。
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