あっとくん ONEMAN LIVE「Tr@itor」 数々の“裏切り”で観客を魅了した初のZeppワンマン - 株式会社ライバー - ライブ配信/ライバー事務所からはじまり、テクノロジー☓エンターテイメントで次のステージへ

2021.11.06

あっとくん ONEMAN LIVE「Tr@itor」 数々の“裏切り”で観客を魅了した初のZeppワンマン

本来ならば、5th Single『寂寞』(せきばく)のリリース記念として、822日にZepp DiverCity (TOKYO)で史上最大規模のワンマンライブを行う予定だったあっとくん。しかし、本人の体調不良により、公演は1030日へ延期された。そして、前回のワンマンライブ「Aces」から約9か月ぶりに迎えた当日。ライブタイトル「Tr@itor」(Traitor=裏切り者)通り、予想を大胆に裏切るような演出を繰り広げたライブの模様をレポートする。

開演直前、ステージの紗幕にASMR配信(ツイキャス)のあっとくんの待機画面が投影されると、あっとくん本人による影アナが流れる。「…注意事項も伝えたことだし、ライブ始めよっかなー。ね。始めてほしい? りょーかい。お待たせ」あっとくんの危げな声でいっぱいに満たされた会場。

するとステージは明転。靄がかかった紗幕の向こうに、あっとくんの姿が浮かび上がった。1曲目は、エッジの効いたギターフレーズから振り出す「Aces」。あっとくんのボーカルが重なると、挑発的な歌詞が現実味を帯びる。会場一体は赤色のペンライトで染まり、観客の熱量は最高潮にのぼりつめていく。<悪いけどもはやそれ欺瞞欺瞞>――その瞬間だった。紗幕が落ちステージは剥き出しに。この予想外の展開にファンは驚きの表情を隠せないようだった。



前回のワンマンライブでは終始紗幕越しだったが、ここへ来てその姿を解放したことは、まさに予想を超える嬉しい裏切り行為。会場のボルテージはさらに急上昇。その温度を保ったまま楽曲は、パーティーチューン「
Daylight」へ。ダンサー二人を従えながらジャンプしたり、ステップを決めたり、ダンサーと動きをシンクロさせ、観客も一緒に体を揺らしていた。そして今回のライブ編成は、ドラム、ベース、ギター、キーボードのほか、ダンサー二人という布陣。「盛り上がっていこうぜ! Zepp!」と言う煽りを入れると、<僕のトコへおいで…>と客席をエスコートするように「ラマ」へ導く。



怒涛のアッパーチューンを終えた
MCでは、自身の夢だったZeppでのライブが叶った喜びを吐露。そして「ついに二階席~!って言えるようになった」とあっとくんは、ライブ恒例の客席ペンライトによるウェーブを1階席、2階席にわたり遂行。とりわけ、ライブのスペクタクルとなったのは、「ヴァンパイア」のカバー後の、原音では攻撃的なロックサウンドが駆け抜ける「aNSWER」。原音には存在しない流麗なキーボードソロが始まったかと思えば、妙に艶めかしいピアノの音色が会場中を黙々と覆っていく。スケール感の大きいラグジュアリーなサウンドスケープが会場に広がる中、爛熟したボーカルとダンサーとのキレのあるダンスで、唯一無二の空気感を生み出す。 あっとくんが放つ色気に寄り添うようにして、色を帯びた音色が彼の声を引き立てていく。それはまさに、ここではないどこか、という新次元を見せつけるような摩訶不思議な体験。空前の試みとなったリッチなピアノの生音とあっとくんの美声の絡み合いがここまで絶妙な音色を奏でるとは想像もしなかった。

客席の頭上からふいに顔を出したミラーボールが、四方八方へと無数の光の粒子を放ちながら回転するのと同時に、バンドメンバーがジャジーで緩慢な生演奏を始める。ここでは、ASMR配信者としてのあっとくんの抱える葛藤やリスナーへの愛がボイスドラマとして語られることに。――「変わらぬ愛を、今ここで君に伝えます」

あっとくんのリスナーに対する変わらぬ愛を証明するかのごとく<「愛してるよ…」>の告白から始まった「ヴェスパー」。さらにデビューシングルである「CrazyCrash」を披露。曲の冒頭や末尾をあっとくんの声が締めくくるのをはじめ、曲間のボイスドラマなど、豪華なギミックが詰まったライブは、まだ見ぬあっとくんの世界をすでに濃厚なものであることを約束しているようだった。



ジャンキーな声が弾けた「メンタルチェンソー」、「寂寞」の作者・
Pegの代表曲「あわよくば君の眷属になりたいな」を続けたところでライブもいよいよ終盤。彼のスタイルを活かす細身のスーツ姿に着替えると、「マッドディペンデンス」、「ブラッディーメアリー」と、熱のこもったラップを含んだボーカルで、自身の圧倒的存在を証明する。一転して、ダンサー二人を引き連れ、サビで3人同時に左右へと繰り返し手を振るというピュアな一面を見せたのは、「瞬間パラドクス」。会場は柔らかな多幸感へと包まれていく。



100人ぐらいの会場でライブをしていた頃からずっとZeppに立ちたいって言ってたんですよね。無理だとかなんだとか言われてましたけど、来たね! 俺たち! すごいね。俺も頑張ったけど、俺をここまで連れてきてくれたお前らもすごいよ。本当に活動辞めなくてよかった。本当に性格の難しい俺を、ここまで好きでいて、Zeppまで足を運ぶまで応援してくれて、まじでありがとう。いろんなことで好きな気持ちを悩ませてしまったり、申し訳ない。でも、本当に俺はお前たちのことが大好きで、お前らを楽しませることをまだまだいっぱい用意してる」

「本当に…愛しすぎて、愛しすぎて愛しすぎて、僕はおかしくなってしまいそうですよ…(吐息交じりの声で)寂寞」



苦しげな吐息交じりの声でタイトルコール「寂寞」が告げられると、彼の心中を表すようにステージ全体がブルーの表情へと変化していく。楽曲に込められた寂しさや怒りなどの負の感情を打破するようにして、情熱的にそして時には哀愁を帯びた声色を使い自身の葛藤を描くようにして歌い上げた。そして最後には、照明が落ちた暗闇で、
1点のスポットライトに照らされる中、「てめえのことだよ」を「おまえのことだよ」に変更しマイクを床にドロップさせるというサプライズも。アンコール一切なしの一発勝負のライブ。それでも、十分すぎるほどの濃密な時間だったことに変わりはない。

終演後、重大告知としてアナウンスされたのは、2022119日(水)に6thシングル『ドープ』のリリース、122日(土)・Zepp Haneda129日(土)・Zepp Nagoya130日(日)・Zepp Nambaまで計3公演にわたるワンマンツアー「Red」の開催。

聴衆の期待も優に裏切るほどに上へ上へと突き進むことで、あっとくんの片鱗を覗かせた「Tr@itor」は、まぎれもなく、ほかの追随を許さないあっとくんらしさであふれていた。ここまで進化/深化してしまったのなら、次のワンマンツアー「Red」では、一体何を魅せてくれる? あっとくんの快進撃は止まらない。

あっとくん「Tr@itor
2021
1030Zepp DiverCity (TOKYO)【セットリスト】
01. Aces
02. Daylight
03.
ラマ
04.
ヴァンパイア
05. aNSWER
06.
ヴェスパー
07. CrazyCrash
08.
メンタルチェンソー
09.
あわよくばきみの眷属になりたいな
10.
マッドディペンデンス
11.
ブラッディーメアリー
12.
瞬間パラドクス
13.
寂寞